「ふぁーあ。」



「なっさけない欠伸してんなー、お前。」


「あ、がっくん先輩。おはよーござーまーす。」


「おう、おはよ!まっ、眠いのも仕方ねーな。朝練初めてだろ?」


「むしろ、こんな時間に学校来たのが初めてです。」


「お前さ、何通学なわけ?電車?バス?チャリ?自家用車?」


「自家用車って・・・。チャリですけどー、バスだったり、歩きだったり。」


「へぇ、要は近いってわけね。俺も、近いぜ!今度、遊びに来いよ!」


「え、襲う気ですかー。」


「いやいやいや、違うから。やめてくんねーかな、その軽蔑した目!」










09.丁寧に扱って欲しい。











「おはよーござーまーす。」「おーす。」


「おはようございます、向日さん。よう、 白潟。」


「おはよう、二人とも。


「あれっ、まだ日吉と滝先輩だけですか。」


「おー。跡部と樺地は、もうコートか、職員室だと思うぜー。」


「宍戸と鳳は、自主練。もしくはー、ジョギングかな。」


「侑士や、ジローは遅い組だしな。」








確かに、あの二人は遅そうだな。

それにしても、鳳くんと宍戸先輩は自主練かジョギングか・・・。

爽やかだなー。ていうか、すごいな。あれ、私、すごい部活のマネジやってる?


・・・まぁ、気楽にやろうぜ、

とりあえず、今は、眠いなぁー。








「くすくす。眠そうだね。」


「滝先輩、私、朝弱いんですよー。」


「あぁ、夜型って感じだもんね。」


「いや、夜にも弱いですね。私、寝るのめちゃ早いですから。昼型人間です。」


「昼っていったって、授業中寝てんじゃねーか。」


「数学だけだよ、日吉!ていうか、昨日、メール途中で切ったでしょ!」


「俺は切ってねーからな。お、ま、え、が、切ったんだ。」


「あ、本当だ。送信ミスってる。あはー、ごめんねー。」








携帯を手にとり、昨日、日吉と買ったストラップと、ラッキーでもらった、ストラップ。

なんだか、いつ見ても嬉しくて、思わず顔がニヤけた。

すると、がっくん先輩が、

あれ、日吉って携帯デビューしたんだ。

って驚いたように言った。








「昨日、こいつに流されて選んで、流されて買いました。」


「私が悪者みたいじゃん。ちがうんですよ、がっくん先輩!日吉、らくらくフォン買おうとしてたんです!」


「ブッ!ギャハハハ!日吉、おま、らくらくフォンって!」


「ヤバイですよねー!」



「一緒に買いに行ったんだねー。ちょっと、見せてよ、日吉。」


「あぁ、良いですよ。どうぞ。」


「あ、これ、CMでやってた奴だ。・・・あれ?このストラップ、二つとも・・・。」


「あ!それ、ラケットの方は、日吉に私がプレゼントしたんです!」


「このハートの奴は、甚だしい勘違いで貰いました。」


「勘違いって言うと、ラッキーじゃないじゃん。滝先輩、ラッキーで貰えたんです!」


「ほんと、仲良しだねー。日吉に、おそろをさせるなんて、やるねー、君。」


「え、日吉、結構流されやすいですよ!」


「お前が強引なんだろうが!」








バシっと頭をたたかれ、着替えるから出てけ、って言われて。

首根っこをつかまれ、そのまま部室の外へ、ダーイブ。


いたたたた、ひどいなー。女の子は丁寧に扱ってこそなんだからなー。

って、誰もいない、無駄に豪華なドアを睨む。


しょうがない、コートに行ってくるか。


そう思って、スカートをパンパンしながら立ち上がると、

目の前に、忍足先輩が見えた。









「関西人のセンパーイ!2秒以内に来なきゃ、跡部部長がレギュラーから切り捨てるって!」








ちょっとした可愛い冗談を言うと、ハっとした顔で、ものすごい猛ダッシュで来た。

はぁ、はぁ、と息切れをして、間に合ったんやろか、って聞くものだから。


いや、ただの可愛いジョークです


って言ったら、タカトシのボケもびっくりなぐらいの痛いツッコミをお見舞いされた。