「日吉ー。今日、昼食の時集まりだってー。」


「…。」


「そんな嫌そうな顔しなくても。あ、さん、おはよう。」


「おはよう、鳳くん。日吉に伝言?大変だね。」


「あはは、大変だよ。日吉って、携帯買わないから、連絡出来ないんだ。」


「だって、日吉!だから買いに行こうって言ってるじゃん。」



「お前と行かなくても一人で行ける。」



「ダメだよ、絶対に変なの買っちゃうって。らくらく携帯買っちゃうよ。」


「良いだろ。らくらく携帯なんだから、簡単でシンプルじゃねーか。」


「シャレになんないよ!らくらく携帯って、アレだよ?」


「アレでも良い。」





「(本当、仲良いなぁ。)」








ヴーッヴーッ








「あ、俺のだ。」


「ほら!日吉、買うなら、あぁゆう奴!」


「白は嫌だ。」


「ソージャナクテネ!機種はあんなんを買おうって言ってるの。」



「あの、さん。」


「なぁに?」


「跡部先輩が、さんも連れてこいって。」










05.ハメられた





「嫌です!」



「そんなハッキリ…。」


「跡部部長、完璧にをマネージャーにしているな。」


さん、日吉も一緒に行くし、ね?」


「嫌ったら嫌。それに、放課後来いって言われただけでも憂鬱なんだよ。

 なんで、昼にも行って、放課後にも行くの。私は部員じゃないんだよ。」


「まぁ、あの、そう言わずに、ね?お願い。」








両手を合わせて、首をかしげる、その姿…!

キリストは、女の扱いが慣れてるにちがいない。

だって、そんな表情…そんなオーラ出されたら…!








「わ、わかったよ、もう…。」








了解せざるを得ないじゃないか!







* * *








「あ、ほんまに来たやん。でかしたで、鳳。」


「まぁ、座れ。。鳳も日吉もな。」






「日吉、もうちょい詰めてよ。」


「つーか、お前、なんで俺と同じイスに座ろうとしてんだ。どけ。」


「えー!やだよ!日吉の隣じゃなきゃ落ち着かないの!」


「知るか!空いてる席に行け!」


「空いてる席って、どこだと思ってるの!」




「ここ空いとるよ。俺と跡部の間。」




「ほら、ね?デッドスポットでしょ、日吉。おっきい狼の所に、か弱い羊を行かせる気?」



「安心しろ。お前はハイエナだ。」








そんなぁ、と嘆く私に対し、日吉はドライ。


良いよ、わかったよ。


デッド・オア・アライブ上等じゃん!








「で!話は何なんですか。チャチャっと断りますからね。」


「断る前提かい…。」








ボソッとつぶやく、何とか先輩をよそに、本当にミーティングが始まった。


え、これ、私は必要あるのかい。ないよね。


だって、夏の大会の反省とか知らないよ・・・。あーあ、昼寝したいなー。








「なぁなぁ、なんて言うの?」


「(ミーティング中なのに話して良いのか、この人)ですけど。」



「へへー。跡部のお願いが効かない女の子って初めてだC」


「え、そんな誉めなくたって良いですよ。」


「俺、2年A組の、芥川慈朗!」


「あ、貴方が芥川先生!私たち似てるらしいですよ。授業中寝てることで。」


「まじまじ!?やっぱし寝ちゃうよなー!」


「ですよねー!」



「ジロー、今はミーティング中だ。」


「だってちゃん、すごいつまらなそうだよ。」


「…っち。、お前、もう一度聞くが「やりません。」








間髪入れずに答えると、隣で眉を寄せて跡部先輩は見てきた。

そんな美しい瞳で見たって負けませんから!

ジーっと睨み合うと、跡部先輩は目をそらして、ため息を。








「しゃぁねぇな、嫌がる女を無理やり引き込むのは趣味じゃねぇ。」


「え、じゃぁ…!」


「せやね。さんを巻き込むのは、もう止めとくわ。」


「あぁ、やっぱり本人が[やります]って言わなきゃな。」


「はぁ、良かったぁ。」


「じゃぁ、マネージャーはそこらへんの女を適当に引っ掻けるってわけで。」



「げ…。」


「!」








『下手にそこらの女がやるよりは、俺は、良い。』




おいおい待ってくれ。

確か、日吉はそう言ってたよね?ワトソン君。


今、跡部先輩、そこらへんの女を引っ掻けるって言ってたよね?ワトソン君。



日吉が嫌がる女の人がマネージャー 

→日吉、毎日ストレスがバリバリMAX

→日吉、10円ハゲに(あわわわ)

→日吉、マネージャーを断った私を恨む。

→日吉、私との友情を崩す(ひぃぃい)

→日吉、私をオール無視!(いやぁぁあ)








「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!」








バンッ








「跡部先輩!私、マネージャーやります!」








日吉との友情が崩れる、そんなの嫌だ!

日吉が10円ハゲなのも嫌だ!








「やってやろーじゃないですか、日吉と私の友情のために!」


「(はぁ?俺との友情?)」








食堂の綺麗な高級机を、こんなにも強く叩いた女の子が、この学園の歴史に居るだろうか。

おかげで、今、私は、ものすごく目立ってます。いや、それは高級机を叩いたからじゃない。


この学園の女子憧れの部活ナンバー1の、男子テニス部レギュラーマネージャーをやると言ったから。


でも、日吉との友情のほうが、大切なんだ。








「・・・・ったな?」


「はっ?」


「言ったな、!さっそく、今日から部活動に参加してもらう!」


「いやー、さんが引っ掛かりやすい子で良かったわぁ。」


「え、いや、え?引っ掛かりやすいって・・・?」


「お前を入れさせるための罠に決まってんだろうが。

 そこらの女を適当に引っ掛けてマネにするわけがねぇ。」









・・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。








「ハメられたぁぁぁあぁぁあ!!!!!」














エリートトレーナー跡部は、野生のさんを捕まえた!
>>2014.10.01加筆修正