「で、無事に日吉らは恋人っつー関係になったわけだが。

 お前らの間に色気が感じられん!」


「…なに一人で喋っとるんん、岳人。」


「この勉強会が嫌なんじゃないですか。」


「あーだめだ!ギブアップです跡部先輩!

 何がわからないって、何もわかりませんよ!」


「おっまえ、一応外部編入だろうが…。」


「過去は過去、今は今ってやつだよ跡部ー。」


「あ、宍戸さん、この問いの訳文間違ってます。…ですよね?滝先輩。」


「うん、残念ながらそこのページは全部違うね、宍戸。」


「あー…テニスしてぇ…。」






そうです、今日はテスト勉強会です。












36.勉強会はただの喋り場











ついに始まりましたね、学生にとって嫌なシーズン。

時を遡ること、昨日。






* * *






今朝朝練後に言われた、昼休みの急な集合。

私は日吉に聞いたんだけど、日吉は、が嫌いなこと、としか言わないし。

行くぞ、と言って、私の手を掴む…ていうか握る?

あの日、付き合うってことになったときから、日吉はちょっとだけ、強引。

嫌じゃないけど、まぁあの、ね。

照れますよね、普通。






「あ、そういえば今日で最後だね、部活。」






他の教室から出てくるジャージの子たちを見て、私が言った。






「別に最後ってわけじゃねーだろ。」


「そうだけどー2週間近くやれないのって、やっぱり辛いのかなぁ。」


「俺はと、教室でしか一緒に居れないほうが辛い。」


「…………。」


「…、顔。ひどいぜ。」


「日吉のバーカ。」


にだけだ。」





あーっ!ちくしょー!

こいつ…私で遊んでるな?

なんなの、このあまーい空気の流れ。

やめて!照れるからー!案外顔に出しやすいって知ってるでしょ、日吉!






、了承を「だめ、公然猥褻。TPOってやつをわきまえなさい。」

「ッチ。」






ナッ、ナチュラルに舌打ちデスカ!

案外困ったさんだね、日吉。…てか、うける。ちょ、笑って良いかな。






「了承、とか言われたら断るに決まってるんだから、別に良いのに。」


「…いや、了承得なかったら、走りだしそうだろ。」


「それってこの前みたく…とか?」


「…さっさと行くぞ。」


「あらートラウマだね、日吉くん?」






ニヤニヤ笑いながら日吉の顔を下から覗く。

うるせぇ、誰のせいだと思ってやがる

って目をそらす日吉にまたもや笑ってしまいそうだったんだけど、

これ以上意地悪したら仕返しが怖かったから、笑いをこらえながら前を向いて歩いた。






* * *





「え?中間試験の模試ですか?」


「そうだ。俺様率いるテニス部に赤点が出ちゃ困るんでな。

 毎年、試験が近くなると模試を行っている。」


「もちろん答え合わせされて、点数付で返ってくるんや。」


「先生たちがこのテニス部の模試に付き合ってくれてるんですか?」


「…そういやぁ、誰が点数つけてるんでしょうかね。」


「俺、ずっと跡部が点数つけてるのかと思ってたぜ。」


「ちげーよ。200人近くのテストなんか見てられっか。

 ま、話はここまでにして。今日の放課後、模試やるからな。

 日吉、ぜってーにをちゃんと捕まえて連れてこいよ。」


「や、やだなぁ。何を言ってるんですか、跡部先輩。

 私ガ逃ゲル訳ナイジャナイデスカー。」





もちろん、逃げようと思ってました。





* * *





「あ、そうか。こうやって、こうすれば良いんだ。」


「そうだ。ったく…これ、昨日授業でやってたぜ。」


「授業ねぇ。起きてたこと、あったかな。」


「…日吉、テスト期間中はを寝させんじゃねーぞ。」


「それが出来てたら今まで先生が苦労しませんよ。」


「まぁ、テストがそんな重要なことだと思わなかったので。

 一応マネージャーですから頑張りますよ、私。」





模試が返ってくるのは、明日。

正直、まったくと言っていいほど自信ない。

大体、入ったは良いけど、やっぱ氷帝ってレベル高いよねー。


…いや、頑張るよ。

赤点とったら、日吉と榊先生と、跡部先輩が怖いもん。


はぁ、勉強なんて大嫌い…。






え?日吉が甘い?いいえ、まだまだヘタレです。