今日は昨日に比べて、涼しいかもしれない。

・・・気温こそは。

だけど、湿度は昨日と比べ物になりませんな。

昨日を音であらわすなら、カラカラーだけど。

今日は、ジトーーーだね。


きっと、だんだん雲が広がってきているせいだ。



跡部先輩も幸村さんも真田さんも、湿度が高いほうが危険だってこと

わかっているんだろうな。

だから、昨日より断然休憩が多い。








「あ、雨の匂いだぁ・・・。」


「・・・ジロー先輩って意外と、鼻きくんですね。」


「それどーいう意味ー?」


「ジロー先輩は、鼻つまってそうです。イメージてきに。」


「あぁ・・わかるわ、それ。なんか鼻つまってそうやんな。」


「ありゃ、忍足先輩と気が合ってしまいました。こりゃ、降りますよ。」


「それどーいう意味や・・・。」





・・・ポツ
   
      ポツ

 ポツ


   ポツ





「あー!雨!」「・・・雨やな。」「雨ですね。」


「あーあ、雨だー。」

「ほんまに降りよったわ・・・。」

「こりゃ、かんっぺきに忍足先輩のせいですな。」


「なんでや!」











12












「全員中に入れー!」


「肩を冷やさないようにな!」








ザーザーと、本格的に振り出してくるころには

合宿所の大広間に、立海も氷帝も、選手全員そろっていた。


降り始めたとき。

一緒に居たジロー先輩と忍足先輩が、洗濯物を取り込むのを手伝ってくれたおかげで

ふわふわのタオルを、汗と雨によって濡れている先輩たちに渡すことができた。

まぁ、体を折り曲げてタオルを守るように走ったし。

あれで濡れていたら、ショックだ。



洗濯物を干すところから走ったせいで、1個だけ、落としてしまったけど。

幸い、選手陣全員に渡すことが出来たから良しとしよう。


私は濡れているままだけど、選手の人たちが風邪をひくよりは良い。


と、思って。

窓のそばで、外の雨の様子を見ていた。








「・・・、タオルは?」


「んー、大丈夫。この部屋、あったかいし。」


「そーいう問題じゃねーだろ。」


「うぎゃ!何すんの、日吉ー!」


「うるせー、拭いてやってるだけだ。」


「ちょっ、頭そんな乱暴に拭くなー!」


「・・・まぁ、平気だろ。なら。」


「なんだその信頼はー!」








私の後ろから、私の頭をワシャワシャとタオルと一緒に動かす日吉。


そんな日吉の手首をつかみ、ぎゃーぎゃーとやっていると、真正面の窓越しに目が合った。

ふとした、瞬間に。

誰とって?日吉とですよ。


思わず、ドキっとしてしまった。


そして、気づく。

何にって?雨に濡れたことで少し透けている私のマネジジャージにですよ・・・!








「〜っ!!」


「っあああぁぁああ!日吉!ちょ、目、つむれー!」


「言われなくてもつむってる・・・!」


「つむってないじゃんかー!今、目、合ったー!!」


「き、気のせいだ。」


「だっ、だから目ぇつむれってー!

 ちょ、動かないでよ、日吉!日吉が動いたら、バレる!皆に!

 もしかしたら背中も透けている状態かもしれないんだし・・・!!」


「わ、わかった。」


「あーっもう、どうしよう。気づいたらいっきに恥ずかしくなった。」


「・・・何がわかったの、って、何脱いでるのー!?風邪ひくよ!」








窓越しに見えたのは、私の後ろの日吉が、ジャージを脱いでいる姿。

もちろん、上半身裸って状態ですよ・・・!

目をつむろうと思っても、脳が目をつむる指令をだしてくれない。


きっと、初めて見た日吉の姿だからだ。


・・・いやいやいや、そんな姿だからって見るのを許されるわけじゃないじゃん!

なんだ、今の発言。少女漫画か!少女漫画なのか!

目、つむれー!指令を出せ、脳ー!私の脳ー!



と、思考をフル回転していたところ、私のなかでは長い時間だったのに

どうやら現実の時間的には短い時間だったらしく、日吉が私の頭に、脱いだジャージを乗せた。


後ろで、先輩たちや赤也の声がする。

どうしたってどよめいている声だ。


そんななか、日吉は目をつむったままハッキリ言った。








「それ着て、部屋で着替えて来い。のさっきの姿を見たのは、俺だけで良い。」








口調こそは、いつもの日吉だけど。

顔が真っ赤になるんじゃなくて、そのサラサラな髪から見える耳が赤くなるのが

日吉だなぁと思って、少し笑ってしまった。










何で雨の話かというと、
今日の雨のせいでバスやら電車やらが遅れたからです。
何でこんな少女漫画展開かというと、
今日の夢がこんなんだったからです。