「ふわぁー・・・。ねむ。すいません、私、もう寝ますね。疲れました。」
「早いぞー!ー!まだ10時半だぜー!」
「がっくん先輩、すいません。今の私にそのテンション、ウザイです。」
「ギャハハ!ちゃんが、いつもより辛口だC!」
「いや、笑うとこじゃ「まだ寝かせねぇぜ!」
「もうやだ日吉ー!って、日吉いない!え、このメンツを私一人でどうにかしろと!」
「夜は長いんやでぇ、?」
「忍足先輩が言うと、犯罪っぽいんで止めたほうがいいですよ。」
「自分、いきなり冷静になるなや・・・。」
「いーじゃんいーじゃん!疲れ果てたら、ここで寝ちゃえばいーじゃん!」
「がっくん先輩、今が一番疲れ果ててるので寝かせてください。」
「それはダメだC」
「ジロー先輩が冷静に言うと、なんか怖い・・・!」
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「おはよーござーまーす。」
「マネジが選手よりおせぇってどういうことだ、コラ。」
「文句言うなら、がっくん先輩とジロー先輩と忍足先輩に言ってください。」
とてつもなく長い初日が終わり、やっと2日目に入りました。
昨日の夜は、ものすごく大変でした。
がっくん先輩の部屋で、ジロー先輩と忍足先輩に寝かせねぇとか言われて。
ある意味犯罪ですよ、その発言。まじで寝かせてくださいよ。
・・・まぁ、日にちが変わるまで遊んでしまったんですけどね!
で、がっくん先輩の部屋で、わざわざ雑魚寝なんてしたくないので。
私は広いひろーい一人部屋に戻ったわけですよ。
・・・いや、戻れなかったんですけどね。
ええ、迷子ですよ。悪いですか。だって跡部先輩の別荘が無駄に広いから・・・!
そして、迷子の果てに会ったのは、
「ー、ひどいじゃん、昨晩は。俺、案内してやったのに、お礼もなしに鍵かけちゃって。」
「ああ赤也、朝から顔近い近い近い!」
「あー跡部さんじゃないッスかぁ。ねぇ、また、立海がわでご飯食べても良いでしょ?」
「・・・。」
「いやいや、そこは断りますよねー、跡部先輩。いや、跡部様。だって、私、氷帝ですもんね!」
「・・・ッハ。氷帝で一番遅く起きてきた罰だ、。
いいだろう、切原。とくと、可愛がってやれ。俺様が許す。」
「!!!」
「いぇーい、さっすが、話わかるぜ。じゃ、行きましょうか、俺の獲物ちゃん。」
「跡部先輩の、バカー!カバー!跡部先輩なんて、跡部先輩なんて・・・!」
手首をつかまれて、赤也に引っ張られる私は、最後の力を振り絞るように叫んだ。
その時の、張り裂けんばかりの喉の痛みは忘れない。
喉がちぎれるかと思うほど、私は力の限り叫んだ。
「部室の跡部先輩専用ロッカー(鍵つき)の中に、
大きい熊さんの縫いぐるみとのツーショットしてる幼いころの跡部先輩の写真があること、
ここに居る全員と監督、みんなにバレてしまえば良いんだ!
その大きい熊さんが、キャンディって名前だってこともバレてしまえば良いんだ!」
あのときの、喉の痛みも忘れないけど。
あのときの、その場に居た人たちの爆笑した空気も忘れないけど。
私はきっと、跡部先輩が真っ赤になって否定している顔を一番忘れないと思う。
* * *
「へぇ、昨日、赤也はちゃんを部屋まで送ってあげたんだね。」
「そうなんスよー!女子トイレの前で体育すわりしている子が居て、ビビリましたけどねー!」
「え、おま、なんでそんな怖い話てきなところに居たんだよぃ。」
「女子トイレだって気づいたら、身体が金縛りのようになってしまったんです。」
「つまりは、腰が抜けたと。」
「違いますよ、柳さん。腰が抜けたんじゃないんです。動かなかったんです。」
「それは腰が抜けたと言うのでは・・・。」
「もう。違いますって、柳生さん。動かなかっただけです。」
「・・・で?礼はしたんか、赤也に。」
「ありがとうって言いましたよ。そしたら、お礼は良いから俺の部屋で寝ようよと言ってきたので。
もちろん聞かなかったことにして、鍵をかけました。私、正当防衛ですよね。」
「ああああ赤也ァーッ!ななななにを不埒な願いを他校の女子に申し出ているのだァーッ!」
「うん、ちょっと黙ろうか、真田。」
カチャカチャとフォークを目玉焼きに突き刺して、ニコっと笑う幸村さん。
幸村さんって、やっぱり部長だよね。
なんか、あの真田さんを抑えこむことができるって、素晴らしいと思うんだ。
・・・ていうかなんか、怖いよね。
今晩は暇なんか、と聞いてくる仁王さんを冷静にかわすことが何回も続きました。
ダメっすよ、手ぇ出さないでください。は俺の獲物です、と言う赤也の声は聞こえません。
まったくもって、私に聞こえません。
ジャッカルさんが、ちょくちょく私に慰めの言葉をかけてくれました。
ジャッカルさんも丸井さんの世話で大変だろうに・・・!
頼りになりますよ、ジャッカルさん!素敵です!
* * *
「あー・・・朝から疲れた。」
「大丈夫?さん。」
「あ、鳳くん。久しぶりー。」
「ハハ、今朝も会ったでしょ。」
「なんか、鳳くんからマイナスイオンを感じる。」
「そんなに疲れてるの?大丈夫?顔が赤いようだけど、日射病とかじゃない?」
「まさか、大丈夫だよ。ありがとう、心配してくれて。」
ヘヘ、と笑うと、鳳くんの大きい手が私に伸びてきた。
と、同時に、おでこのところに冷たい感じがして、気持ちいい、かも。
でも、いきなり、どうしたんだろう。
なに?という目で、鳳くんを見ると、ニッコリ笑って、
無理しないでね、さん。
って言ってくれた。
あぁ、マイナスイオンを感じる。
 長太郎は天然にマイナスイオンがでます。
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