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「むふふふふ」
「・・・、気持ち悪い。」
「失礼だよ、日吉!えっと、なんとか長太郎?くんの優しさを噛み締めてというのに。」
「鳳だ。鳳長太郎。」
「オートリ・・・。へえー!これで鳳って読むんだー。画数多いなー。習字の時大変そう。」
教科書の後ろに、綺麗な字で書いてある名前を眺めながら。
私は、鳳くんの優しさに顔がズット、ズーーット、にやけていた。
02.授業中、起きることができない。
「きりーつ、れーい、ありがとうございましたー。」
「・・・したー。・・・ナンデスカ、日吉くん。」
「お前、借りといて寝るなんて最悪なヤツだな。」
「何も言わないでくれたまえ。数学という教科が私を苦しめるのだよ!
そう、睡魔という魔族の手によってね・・・。」
「ヘーェ。」
「まあ、先生、気づいてなかったし?ってことで、返しに行ってくるね!
6時間目だから、あとはHRだけ「ー。お前、ちょっと職員室来い。」
「えーーーーーー!!!!!」
神様、キリスト様、仏様、鳳様!
授業中寝ていたということについては、謝ります。
だから、鳳くんのところに行かせてください・・・。
あの優しい後光を拝ませてくださーーーい!
* * *
「お前、俺の授業、何回寝たか知ってるか?」
「先生・・・過去は振り返らない主義なんでイダッ
」
「俺ですら、おぞましくて言えねーぞ、この回数。なんだ?2年の芥川を目指してるのか?」
「誰でしょう、あくたがわって。芥川龍之介先生の子孫でしょうか。」
「え、お前、知らないのか。教師の俺が言うのも変だが、芥川つったら、有名だぞ。
あ、そっか。お前、氷帝学園には高等部からの編入生か。」
「私、とくに羅生門が好きですよ。あとベタですが蜘蛛の糸でしょうか。」
「跡部率いる、テニス部だぞ。それの、レギュラーつったら、女生徒はキャーだぜ、キャー。」
「んーでも先生、私は太宰治先生のが好きです。」
「、お前なー。もう高2になるんだぞ?授業中は寝るのは、目瞑るが。恋沙汰に興味持てよ。」
「人間失格・・・あれは、名作ですね。ほんと、読んでると人生が暗くなる。」
「・・・なぁ、。会話のキャッチボール、出来てるのか、俺たちは。」
「いや、出来てませんね。だって、先生、私の話し聞いてくれてないじゃないですか。」
「いやいやいや。それ俺のセリフだからな!」
「あれ、そうですか。でもちゃんと聞いてましたよー。失礼ですね、もう。
跡部先輩率いるテニス部の芥川さんを目指してるわけじゃないですよ。本能のままなんです。」
「もっと質悪いわ!」
「すいません、小林先生。芥川は、そんなに授業を寝ているのでしょうか。」
「あ、榊先生。いや、まぁ、フォローしたくても出来ないぐらいですね。」
あ、行ってよし先生だ。
音楽という教科とともに、この先生、好きだよ。
だって、日吉がちゃんと歌っているんだもん!
すごいよね!これって、先生のおかげだよねっ!
「跡部、後で芥川に注意してもらえるか。」
「わかりました。ジローには、いつも言っているんですが・・・。」
「(あ、生徒会長だ。間近で初めて見た。へぇー。綺麗な顔ー。神様は不公平だなぁ。)」
「。ホケってないで、お前も注意しろ。」
「えー・・・善処します。」
「えー・・・じゃない!このまま俺の授業を寝続けたら、やべーぞ。」
「なんだ、。お前も、よく寝ているのか。」
「数学って、眠くなってしまうんですよね。あ、ご安心ください!音楽は寝たことありません!」
「そのやる気、俺の数学にも欲しいなー。」
「いやだって、あの日吉が真面目に歌ってるんですから!すごいことです。」
日吉なんて、私がちょっと鼻歌しただけでウザそうにしますし。
日吉の歌声聞きたいなって言ったらデコピンされるし。しかもこれがかなり痛いんです。
歌をうたって何が楽しいんだ?って真面目な顔で問われましたし。
それなのに、榊先生の授業は、ちゃん・・・っと大地讃頌しているんです!
そう熱弁していると、隣の跡部先輩が面白そうに笑ってるのが見えた。
あんな隠れて笑うんじゃなくて、堂々と笑えば良いのに。
あ、ここは職員室だし、顧問が居るから、大きく笑えないのか。
ふーん。地球上の常識の軸は俺!っていう人かと思ってた。

跡部は、野生のさんと出会った!
野生のさんは、エリートトレーナーの跡部と出会った!!
>>2014.10.01加筆修正
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