ひょっこりと、それでいて、ソローーリやってきた。
なんだよ、と見ると、苦笑いをして跡部部長たちの方を見た。
時々、ブルっと震えながら。
こんな時期に寒いのか?いやいや、そんな訳ねぇ。
汗が冷えて、風邪でも引いたとか。
・・・なんにせよ、跡部部長たちの話が終わったら、に話しかけてみるか。
―6
―
跡部部長の声で、立海も、氷帝も、パラパラと動き出した。
グルリと首を回して、反対方向に回して。
あぁ、にどうしたのか聞くか。
と、思ったら、はもう隣に居なかった。
少し見渡すと、さっき俺とが運んだドリンクの方へ向かっていた。
それは、もう、足早に。
・・・わざわざ邪魔をすることはない。
そう思って、アキレス腱と、腕を伸ばした。
手をブラブラと揺らし、足首をグルリと回した。
全部伸ばしたことを思い出しながら確認すると、
シューズの紐をもう1度結ぼうと思い、座った。
フ、と黒い影が2つ、俺の横に立った。
「なーなー、日吉。見ろよ、あそこ。」
「が絡まれとんのや。仁王にな。」
「・・・それが、何か。」
「あれ、意外やな。の腕を強引に引っ張ってまで、救出するかと思うたんだけど。」
「つーかさ、に手ぇ出すなんて、仁王、趣味変わったんじゃね?侑士。」
「せやね。ボン・キュ・ボンのバリバリの姉やん系が好みや思うてたわ。」
「どうせ、反発するが楽しくてしょうがないのでしょう。
は、顔立ちが綺麗だからと言って、媚びリませんから。」
「あ、日吉が立った。」
「なんや、やっぱり助け「言っておきますが、助けるんじゃなくて、に用があるだけです。」
イライラする。
そうだ。助けるんじゃねぇ。具合が悪いのか、悪くないのか、聞くだけだ。
いやなら、もう少し強く振りほどいたらどうなんだ、。
・・・が意外と力が無いのも知ってるし、仁王さんの方が力が強いに決まってるが。
「ちょっ・・・さっきも言ったでしょう。私は、あなたの相手になる気はありません。」
「へへっ。ゾクゾクするぜ。その、目。」
「もうヤダこいつー!話聞いてないし!」
「すいませんね、さん。仁王君も、切原君も止めなさい。
真田君に制裁をくらわれたいのですか。」
「ゲッ。そうだった。あぶねぇ、あぶねぇ。大人しくストレッチするかぁー。」
「分かってるぜよ、柳生。練習終わった後、遊ぶ。今じゃなくても、良いナリ。」
「そう思ってるなら、さっさと離れてくれませんか。」
「。ストレッチ、手伝って欲しいのう。」
「・・・まぁ、それくらいなら。」
「え、ズリーよ、仁王先輩!俺も俺も!手伝って!俺の上に乗って!」
「・・・そんなストレッチ、あったっけ。」
「良いから、良いか「。話がある。来い。」
「うわっって、あ、ひよ、し!?」
止まることなく、の方へ向かい。
早足のまま、の手首をつかむと、そのまま止まることなく、前へ進んだ。
歩くの早いよ、どうしたの、日吉!
そうやって、のん気に叫ぶに、ますますイラつきは収まらない。
広いテニスコートの誰も居ない隅の方に進んで、止まり、座った。
の手首をつかんでいたことを、忘れて。
はバランスを崩し、俺の胸元へ倒れこむ。
このまま行くとぶつかる、と思い、とっさにの両肩を掴んだ。
「あ、ありがと、日吉。」
「・・・いや、べつに。」
「そういえば、話って何?」
「・・・あー・・・。忘れた。」
「え、バカじゃん!」
「うるせー・・・。」
コートの隅、ちょうどいい木陰の下。
の両肩を持ったまま、顔がかなり近いことも忘れて、他愛もない話をしていた。
目の前で笑っているを見て、
あぁ、取り返した。という、よく分からない満足感が出て。
さっき感じたイラだちも、いつのまにか無くなっていた。
美味しいとこどりは、日吉です
( 完 全 趣 味 )
注意。この連載は、シリアス連載では、ありません。
赤也書くと、シリアスになる・・・。怖いから ( 何 故
)
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