ひょっこりと、それでいて、ソローーリやってきた

なんだよ、と見ると、苦笑いをして跡部部長たちの方を見た。


時々、ブルっと震えながら。


こんな時期に寒いのか?いやいや、そんな訳ねぇ。

汗が冷えて、風邪でも引いたとか。


・・・なんにせよ、跡部部長たちの話が終わったら、に話しかけてみるか。




























跡部部長の声で、立海も、氷帝も、パラパラと動き出した。


グルリと首を回して、反対方向に回して。

あぁ、にどうしたのか聞くか。



と、思ったら、はもう隣に居なかった。


少し見渡すと、さっき俺とが運んだドリンクの方へ向かっていた。

それは、もう、足早に。


・・・わざわざ邪魔をすることはない。



そう思って、アキレス腱と、腕を伸ばした。

手をブラブラと揺らし、足首をグルリと回した。


全部伸ばしたことを思い出しながら確認すると、

シューズの紐をもう1度結ぼうと思い、座った。


フ、と黒い影が2つ、俺の横に立った。











「なーなー、日吉。見ろよ、あそこ。」


が絡まれとんのや。仁王にな。」


「・・・それが、何か。」


「あれ、意外やな。の腕を強引に引っ張ってまで、救出するかと思うたんだけど。」


「つーかさ、に手ぇ出すなんて、仁王、趣味変わったんじゃね?侑士。」


「せやね。ボン・キュ・ボンのバリバリの姉やん系が好みや思うてたわ。」



「どうせ、反発するが楽しくてしょうがないのでしょう。

 は、顔立ちが綺麗だからと言って、媚びリませんから。」



「あ、日吉が立った。」


「なんや、やっぱり助け「言っておきますが、助けるんじゃなくて、に用があるだけです。」











イライラする。

そうだ。助けるんじゃねぇ。具合が悪いのか、悪くないのか、聞くだけだ。


いやなら、もう少し強く振りほどいたらどうなんだ、


・・・が意外と力が無いのも知ってるし、仁王さんの方が力が強いに決まってるが。











「ちょっ・・・さっきも言ったでしょう。私は、あなたの相手になる気はありません。」


「へへっ。ゾクゾクするぜ。その、目。」


「もうヤダこいつー!話聞いてないし!」


「すいませんね、さん。仁王君も、切原君も止めなさい。

 真田君に制裁をくらわれたいのですか。」


「ゲッ。そうだった。あぶねぇ、あぶねぇ。大人しくストレッチするかぁー。」


「分かってるぜよ、柳生。練習終わった後、遊ぶ。今じゃなくても、良いナリ。」


「そう思ってるなら、さっさと離れてくれませんか。」


。ストレッチ、手伝って欲しいのう。」


「・・・まぁ、それくらいなら。」


「え、ズリーよ、仁王先輩!俺も俺も!手伝って!俺の上に乗って!」


「・・・そんなストレッチ、あったっけ。」


「良いから、良いか「。話がある。来い。」


「うわっって、あ、ひよ、し!?」











止まることなく、の方へ向かい。

早足のまま、の手首をつかむと、そのまま止まることなく、前へ進んだ。


歩くの早いよ、どうしたの、日吉!


そうやって、のん気に叫ぶに、ますますイラつきは収まらない。



広いテニスコートの誰も居ない隅の方に進んで、止まり、座った。


の手首をつかんでいたことを、忘れて。


はバランスを崩し、俺の胸元へ倒れこむ。

このまま行くとぶつかる、と思い、とっさにの両肩を掴んだ。











「あ、ありがと、日吉。」


「・・・いや、べつに。」


「そういえば、話って何?」


「・・・あー・・・。忘れた。」


「え、バカじゃん!」


「うるせー・・・。」











コートの隅、ちょうどいい木陰の下。

の両肩を持ったまま、顔がかなり近いことも忘れて、他愛もない話をしていた。


目の前で笑っているを見て、

あぁ、取り返した。という、よく分からない満足感が出て。


さっき感じたイラだちも、いつのまにか無くなっていた。














美味しいとこどりは、日吉です ( 完 全 趣 味 )  
注意。この連載は、シリアス連載では、ありません。
赤也書くと、シリアスになる・・・。怖いから ( 何 故 )