跡部先輩に怒られたくないし (しかも2回も怒られることになる!)

だから、出来るだけ、小さな声で。

でも、相手に聞こえるように、ハッキリと私は言った。











「あなたの相手になる気も暇も持ち合わせてません。お目当ての人なんてのも、居ません。」























私がハッキリ言うと、切原くんは、一瞬びっくりした顔になって。











「へぇー?」











その後、ニィと笑った。

その笑い方に、思わず背筋がゾワワワーっと来てしまった。

なんなんだ、立海の人たち!笑い方が怖いんだよ!(主に2人。)


逃げるわけじゃないけど、このまま隣に居るのは、なんだか…怖くて。

さりげなーく、前に居る鳳くんと樺地くんと日吉の列にまぎれてみた。


いや!逃げてるわけじゃないよ!



鳳くんと樺地くんと日吉、と私。という順になって。

日吉は、ソローリと紛れ込んできた私に、何だお前って目をチラっとして。

その後、また視線を跡部先輩と幸村さんの方に戻した。



跡部先輩は、淡々と練習メニューの説明をしていたけど。

幸村さんは、こっちを見ていた。そう、ニコニコと。

…いやいや。私を見てるんじゃないんだよ。

うん、そう。私を見てるのでは無いのですよ。



左斜め後ろからは、ものすっごい視線を感じますけどね。



前からは、幸村さんの誰に向けているのか分からない(きっと自分。)笑顔。

後ろからは、なんとも言えない恐怖?ううん、舐め回されるような感覚。


あーっもう、嫌!











「それでは各自、十分にストレッチした後、コートにつけ。」











跡部先輩の高らかな声が、響き。

その高らかな声に、全員が、ハイと答えた。

跡部先輩の声って、返事が無意識にでも出来ちゃうんだよね。

これが、カリスマ的素質って言うのかな。



私は、切原に絡まれたくないがため、さっさとドリンクの方へ向かった。


・・・つもりだった。











、赤也に絡まれとったじゃろ?」


「やめなさい、仁王君。女性に、いきなり肩を組むなんて。」


「・・・えー、と。柳生さん、ですよね。ありがとうございます。

 とっても迷惑なんで、力づくで逃れても良いですか。」


「えっ。すいません、注意しといてなんですが。

 あなた、彼に肩を組まれても嬉しくないんですか。」


「逆に聞きますけど、嬉しいもんなのでしょうか。こーいうのって。」











驚いた表情の柳生さんに、眉をよせたまま聞くと、


安心しました。あなたが、学校の女性のような方ではなくて。


と、メガネをくいっとあげて、口角を上げた。


あぁ、なるほど。

この人たちも、跡部先輩たちみたいにモテてるのかな。

とりあえず注意したけど、きっと肩を組まれても嬉しいんだろうって感じ?

・・・いや、私、ぜんぜん嬉しくないんですけど。

朝の件で、警戒力ビシビシですからね、私。











「ていうか、いい加減離れませんかね。仁王さん。」


「嫌じゃよ。俺の腕からは、逃がせないぜよ。」


「なんですか、その俺様発言。俺様キャラは跡部先輩だけで結構ですよ。十分ですよ。
 
 かぶるんで、他のキャラ探したらどうですか。あーーー、もう、離れてください!暑い!」


「俺の手は、いつでも冷やっこいナリ。」


「ひぁ!び、ビックリした・・・。なんですか、その手の異様な冷たさ!」


が望むのなら、この手でお前さんの体、冷やしてやるぜよ?」


「うっわぁぁぁあ!気持ち悪い、気持ち悪い!」


「に、仁王君がココまで嫌がられるのも、なんだか・・・変ですね。」


「俺はもともと、嫌がる奴を責めるのが好きナリ。

 喜べ、。お主、俺のドストライクじゃ。」



「〜!ぜんぜん嬉しくな「仁王センパーイ。ダメっすよ、それ、俺の獲物ッス。」











右を見れば、にんまり笑った仁王さん。

左を見たら、舌なめずりしている・・・切原。




やばい。

なんか、もう、帰りたい。