「私だけ、1人部屋ってのも悪くないね。」
「悪くないってか、当たり前だ。お前、一応女だろう。」
「わかってるよ、日吉。でもさ、日吉たちみたく、2人部屋ってのも楽しそうでしょ。」
「2人部屋ってのは、うるせーだけだと思うがな。特に、鳳とだぜ。」
「鳳くん、良いじゃん。なんか、ちゃんと朝は起こしてくれそう。」
「わかってねぇな。あいつ、寝起き、スゲーわりぃんだよ。」
ああ、それ、なんか納得。
ガシャガシャと、ドリンクグッズを日吉と片手もちで協力しながらコートへ運ぶ道の途中。
私は、日吉と話すのがとてつもなく久しぶりな気がして。
なんだかとっても嬉しかった。
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「ありがと、日吉。運んでくれたおかげで軽かったよ。」
「歩いてる俺を、が捕まえたんだろーが。」
「でも、手伝ってくれたじゃん。」
「ふん。」
コートの隅っこにあった、長机の上に、ガショーンとおいて、
ガショガショと、ケースを分けていく。
さっき、幸村さんに渡されたんだ。
これが立海のみんなの、専用ドリンクケースなんだけど、良いかな?
って、また、あの殺人ニッコリで。
あの人、私が顔が熱くなるの、分かっててやってたりして・・・。
気づけば、もう、コートに行っていたと思った日吉も、横でケース分けしてくれていて。
しかも、飲むところの部分まで開けておいてくれながら。
気遣いなのか、それとも無意識に開けておいてくれるのか。
よく分からないけど、日吉のその行為がとても嬉しくて面白くて。
「やっさしーじゃん、日吉ー。」
「うるせぇ、よりかかんな。重い。」
「重いたぁなんだー!」
ついつい、横に居た日吉に、自分の片足をあげて、よりかかった。
だって、なんか、嬉しかったし面白かったんだもん!
「あ、集合かかったね。行かなきゃ。」
「ああ。・・・。その氷帝ジャージ、よく似合ってるぜ。」
「・・・ごめん!もっかい言って!」
「言うかよ!、ぜってぇ今の聞こえてただろう!」
そう言って、日吉はとっとと集合をかけた、部長ズのところに行った。
そう、そうなんですー!
私、ついに氷帝ジャージもらいましたー!
合宿所について、部屋割りの話を聞き終わり、部屋でまったりしていたら、監督の放送。
それは、私の呼び出し。えー、なにかやらかしたかなーと思って行くと、
なななーんと、念願の氷帝ジャージ!しかも、胸元に、筆記体のフルネーム!
ものすっごく嬉しくて、つい、そのまま着ちゃいました!
うきうきと、集まりの中に行くと、先輩や鳳くんが、念願のジャージだね、って言ってくれた。
がっくん先輩とジロー先輩と、後で写真撮りましょうねって笑いあって。
跡部先輩と幸村さんの合宿練習内容の説明をまじめに聞いていた。
・・・うげぇ、なんか聞いただけで、吐きそう。
すごいな、この練習メニュー。
「ねぇ、アンタって、誰狙いなんスか?」
「・・・・は?」
「跡部さん?忍足さん?それとも、仲良さげな日吉?」
何言ってんだ、この人。
ていうか、まじめに聞けよ、跡部先輩と幸村さんの説明!
コソコソと耳打ちするように、切原くんは話を続けた。
「あ、もしかして、宍戸さん?向日さんとか?あぁ、芥川さん?滝さん?もしかして大穴樺地?」
「ねぇ、話、ちゃんと聞いたほうが良いんじゃない。」
「だーいじょうぶ、大丈夫。俺にだけ、教えてよ。あんたの、狙い。」
「言っとくけど、私、怒られたくないから無視するね。跡部先輩、怒ると怖いから。」
「ツレないねぇ。そんな素っ気無い態度ってのも、新鮮だぜ。なぁ、俺がアンタの相手してやろーか。」
「・・・・。」
「アンタ、面白そうだし、気強いし。良い声で泣いてくれそうじゃん?」
あ、こいつ、気に入らない。
あ、赤也、悪い奴になってしまった。日吉ツンデレー。楽しくて仕方ない。
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