ある雨の日の欲望
「雨、やまないね。真田くん。」
「そうだな。」
「風も強いみたい、真田くん。」
「そうだな。」
「ねぇ、これ以上、引き止められてたら、あたし、帰れなくなるんだけど。」
「ならば、帰らずに、俺と一緒に部室で一夜を過ごすか。」
「・・・真田くんが言うと、冗談に聞こえなくて、嫌だよ。」
「名前で呼べ。2人の時は、いつも言っているだろう。」
「弦一郎、もしかして発情期?」
「そうだとしたら、お前は、俺から逃げるか?」
質問しといて、その答えは聞きたくなかった
だから、その口を塞いでやった
もし、俺への拒絶の言葉が出てきたら、と考えたら
もし、そんな言葉を、お前の口から聴いてしまったとしたら
俺はきっと、お前をメチャクチャにするだろう
雨は止まない
風も弱まらない
愛するものに対しての汚らしい欲求や熱情さえも
おさまらない