大丈夫、世界は狭い
大丈夫、キミと俺なら

                                                                                                                                                       



「世界中には、何千億とかの人がいるんだよね。」

「まぁ、そんくらいじゃないの。」


「それでさ、世界中には、何十ヶ国もの土地があるんだよね。」

「まぁ、そんくらいじゃないの。」


「そしたらさ、あたしと、越前がさ、こうやって面と向かって話してるのって凄くない?」

「まぁ・・・アンタが考えそうなことだよね。」


「世界は広くて、たくさんの人がいて、そのなかで、あたし、越前という人間を見つけたんだよ。」

「俺だって、世界にとっては、ちっぽけなアンタを見つけたよ。」




「せっかく、素晴らしい確率で、越前を見つけたのに。越前は、また、遠くへ行っちゃうんだね。」

「・・・遠くないじゃん。アメリカなんて、近い。」

「遠いよ。あたしには、遠すぎる。」



ついに、アンタが泣きそうな顔で言うもんだから

一生懸命、涙をこらえているアンタの口を塞いだ。

そしたら、大きな目で俺を見つめた。
鼻と鼻がぶつかるぐらいの距離って、こんなんかも。



「アンタ得意の、世界中の広さを考えれば、アメリカと日本なんて、こんな距離でしょ。」

「こっ・・・これは、近すぎ、るよ。」


「このぐらいで赤くなるなんて、まだまだだね。」

「ふ・・・ふーんだ。」


「出発の日は、絶対に見送りに来てよね。そしたら、アメリカ流の挨拶してあげる。」



そう言ったら、もっと、アンタは赤くなった。

本当はアンタもアメリカに持っていきたいんだけど、
これは俺のテニスとの戦いの覚悟だから、アンタ持ってったら
たぶん、すぐアンタに甘える。


だから、連れて行けない。

ごめん、待ってて。強くなってもっと自信つけて、アンタを迎えに行くから。