君が手に入るまで、
あと何秒?




「怒るよ、仁王。」

「どうしてでしょうか。」


「見え透いた芝居は、やめて。柳生くんソックリになれても、あんたは柳生くんではない。」

「どうして、そう言いきれるのでしょうか。」


「だって、柳生くんは、そんな香水つけないもん。私が、香水嫌いなの知ってるから。」

「ほんとうに、私を、仁王君だと思っているのですか。」


「・・・・やめて、揺さぶりをかけるつもり?」

「そういうわけでは、ありません。これだけは、聞いてください。
  仁王くんに、香水をかけられてしまったのです。あなたが、もっと私を好きになるようにと。」



「・・・・・ほんとうに、柳生くんなの?」

「はい。」


「・・・・・・・・・・・・ごめん、柳生くん。」

「いえ、良いのです。すべては、仁王くんが悪いのですから。あの人は、だれにでもなれますからね。」

「ほんっと、迷惑な奴だよねー。さて、帰ろうか!柳生くん!」

「ええ。」


「そうそう。その香水、やめたほうが良いよ。やっぱ。仁王のと同じだもん。
 それに、そんなの無くたって、私は柳生くんが好きだよ。」


「私も次からはつけないことにします。私も、あなたを愛していますよ。」

「すっ・・・好きって言ったら愛してるって返さないでよー!…へへ、でも私も柳生くん愛してるよー!」



簡単なものですね。人を騙すというのは。
たとえ、愛している人でも、騙されるなんて。

いつ、あなたは私に気づくのでしょうか。

今夜 あなたの家で気づくのでしょうか。





お前が俺に気づいたときと、俺がお前を喰うとき

どっちが早いかのう?

君を手に入れるなら、親友だって神だって騙してみせる。