お願い、もう少しだけ 



「キヨ!早く、プリント出してよ。提出日、今日の5時までなんだから!」

「ごめんごめんってー。今、探すよー。」

「本当に探す気あるの?もー・・・早くしてよ。私が帰れないじゃない。」

「そーだねぇ。まぁ、俺が送ってあげるって!」

「送るだけじゃ甘い!ガリガリ君2本ね!」

「え、食べすぎでしょ!」


「だって、キヨも食べるんだったら2本でしょ?」

「!・・・もう、しょうがないなぁ。」


「あーぁ。今日は、早く帰って、ゆっくり寝るつもりだったのに。」

「じゃあ、今、寝るってのは、どう?」

「うーん・・・そうだね。キヨ、まだかかりそうだしね。」

「ただいま、かばんの中を模索中でございまーす。」


「じゃあ、寝てようかなー。見つけたら、即座に起こしてよね!」

「はいはい、わかりましたよ、姫様。」

「うむ。よろしい。おやすみ!」



ねぇ。

キミは 気づいてる?気づいてない?
ずっと 俺の腕が右左にしか動いてないこと。

キミが探しているプリント ちゃーんと有るんだよ。
かばんの中で 俺の手にカサカサ触れながら ひっそりと身を隠してるんだ。


でもね 出してあげない


4時55分まで 俺がかばんの中で隠しておくよ。

寝させてあげるからさ

もうすこし キミの側に居させて。
もうすこし キミの空気の中に居させて。

神様、良いでしょ?このぐらいの、わがままなんて。