「あー。雨だ。」 「雨、だな。」 「・・・先輩、私を車に乗せてくれませんか。」 「やだね。お前、ぜってぇ、俺のリムジン汚すだろ。」 突然、振りだした、にわか雨。 ・・・いいえ、にわか雨では、ありません。 今日の降水確率は、80% だけど、私は傘を持ってきていません。 さぁ、なぜでしょう? そうです。今日は、荷物が多くて、ダルかったんです。 結構、マネジやってると帰り時刻が遅くなるってわかってきたし。 まさか、夜遅くまで雨も降らないだろうっていう、なんとも危険な賭け。 「汚しませんって!ほんと、汚しませんから!」 「じゃあ、リムジン入る前に、靴は脱いでいけ。そして、置いていけ。」 「む、無理言わないでくださいよ!」 「じゃあ、無理だな。」 「え。ほんとに、私を置いていくんですか?」 まっさかー、と言って、跡部先輩を見ると。 傘を持って、携帯で電話していた。 たぶん、運転手さんに。 あー。これ、本当に、置いていく気かな。 え、これ。 ちょ、これ。 ま、まじですか。 「良いですよ。私、雨上がるまで待ってますからー。」 「ばーか。リムジンには乗せねぇとは言ったが、置いていくとは言ってねぇ。」 「え?」 ボフっと、ソファに寝っころがって、跡部先輩のバカと心の中で毒づくと。 頭の上の方で、声がした。 跡部先輩の思いがけない言葉に、顔を向かせると。 ズイっと。 目の前に、手を差し出された。 「さっさと起き上がれ。車には乗せねぇが、家まで送ってってやるよ。」 その手を取って、立ち上がると、跡部先輩が荷物を持っていてくれた。 あ、すいません、荷物。と言うと、軽すぎる。教科書も何も入ってねーのかと。 なぜか知らんが怒られてしまった。・・・え、なぜ。 「感謝しろよ、この俺様が家まで送ってやるんだからな。」 「そうですね。ありがとうございます。」 「・・・やけに素直で気持ち悪いな。」 「礼を言ってるのに、何を言ってるんですか。失礼ですね。」 「おい、もう少し寄れ。お前が風邪ひいたら、いまさら大変だ。」 「・・・先輩って、意外と優しくて面倒見良いから好きですよ。」 「っは。俺様に惚れ「いや、それは無いですけどね。」 あめの日の優しさ 「跡部先輩。」 「あん?」 「ありがとうございます。」 ブラウザバックでお戻りください。 |