「やぁ、Ms.!」 「・・・。」 「えー。なんで、無視するのさー!」 「言っておくけど、私は、まだ怒っているんだ。 セブルスの頭、魔法じゃ治らないから、包帯で巻かれているんだからな!」 そう言って、怒る彼女は、どうも綺麗に見えて仕方なくて。 僕はニコニコ笑うぐらいでしか、気持ちを表せなかった。 天才的悪戯少年の 姫への親睦 「あぁ、スニベルス?そうかい、やっぱり結構怪我しちゃったんだねぇ。」 「そんなニヤけ顔で言わないで。ていうか、ポッター、慣れ慣れしくないか。」 「え、この距離感のこと?僕としては、もうちょっとくっついた方イダァ!」 「調子に乗るな。あぁ、もう。顔が近い近いチカーーーイ!」 「あれ、Ms.、また背が縮んだかい?」 「縮むか!ポッターが大きくなったんだろう。成長期ってやつだろ。ずるいよな。」 僕より数段小さい、彼女。 人気者の僕を、嫌ってる少女は2人いて。 それは、我が獅子寮のマドンナ、容姿端麗、才色兼備なリリー・エヴァンス! そして、宿敵蛇寮のクイーン、高貴溢れる愛らしくもクールな・! とにかく、反応が面白くてしょうがない。 あれ、僕、性格悪い?いやいや、しょうない! なんてったって、最近のマイブームは、もちろんスニベルス苛めも有るけど、 反応が飽きない、Ms.をからかう事さ! 「ねぇ、そんなに速く歩いて疲れないのかい?」 「・・・疲れる。」 「僕はさ、足が長いから良いけどー、君は、僕より数段小さいだろ?」 「何それ。私の足が短いとでも?Mr.ポッター。」 「いやいや、Ms.の足はとても綺麗だ!見たことないけど。」 「あのね・・・。見たことないのだろう・・・まったく、気色悪いなぁ。」 「だって、君はいつもローブを着ているでしょ?たまには、制服姿を見せてよ!」 「変態。」 「まさか。僕はただの、健康的優良児だよ。」 「違う女の子に発情していたらどうだ?」 苦笑いをしながら、僕に笑う、Ms.。 サラリと揺れる黒髪、気の強そうな目つき、謎めいている眼帯。 君は、とっても魅力的だよ。 それにね、僕、知っているんだ!君、とても飛行術上手でしょう? いつだったか忘れたけど、とても天気の良い日。 クリード・アークスと、スニベルスに飛行術を教えているのを見たことがあるんだ。 とっても楽しそうに、くるくる回る君と、絶対にクディッチしてみたいと思った。 「君はさ、僕のことを友達だと思っている?」 「・・・何を突然。だけど、答えてあげる。"さぁな"」 「それ、答えになってないんだけどなぁ。」 「安心して。嫌いでは無いから。」 「本当かい?僕も、君が大好きだよ。」 「あーハイハイ。」 「ねぇ、今度、クディッチをしよう!勝負だよ、Ms.!」 「・・・売られた勝負は買うのが礼儀だな。家として、スリザリンとして、私は負けないよ。」 「僕だって、この天才ジェームズ・ポッターとして、グリフィンドールとして、負けないから。」 ウィンクをして、決めてみるけど、この女の子には、まるで効かない。 むしろ、引かれるだけなんだよなぁ。 それでも、僕がこの女の子に関心を持ち続けるのは、 からかい甲斐が有るだけじゃない。 こういう、自分の寮や自分の家、自分自身に誇りを持っているところが気に入っているから。 実際、僕だって、自分の寮、そして自分が自分であることに誇りを持っているからね。 Ms.が、団結力のあるスリザリン内で異様に人気が有るのも、分かる。 「偶然だね。私も、気が合うと思っているよ。」 「それでも、君にとって、友達では無いのだろう?」 「そうだね。なぜだろう。セブルスやクリードが私の宝物だからかな。」 「なーるほどね。そりゃ、宝物を苛める僕は嫌いだよねぇ。」 「言っただろう、嫌いじゃないって。だけど、価値観は一緒だと思う。いつか、友達と呼べるかもな。」 「えー!それって、いつだい?」 「セブルスや、そちらのシリウス・ブラックさんやらが大人になった頃ですかね。」 「なんだ、君と友達になれない理由は、シリウスのせいなんだね!」 そうじゃないだろう、と腰を折りながら笑う・。 複雑複雑、僕らの関係。 それでも、変な信頼感は有るつもりだよ。 友達じゃないけど、他人ではないよ。 まったく、なんだろうね、この関係は! ![]() 友達じゃない。 信頼もあるし、気が合うし、価値観も合っている。 それでも、友達じゃないんだ。 複雑な関係って、ありますよね。 |