「Mr.ルーピンは、お菓子が好きなの?」


「そうだよ、Ms。」


「そう。じゃあ、私たちは天敵ね。私、あなたのこと嫌いよ。」








ニッコリと笑う目の前の彼女は、夕食に出てきたケーキには目もくれず、

火を吹きそうな、真っ赤でしかない野菜炒めにフォークを刺していた。








So I don't
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。混血の魔女。頭は良い。箒は苦手。グリフィンドール。あ、同じ寮だ!」


「え、どうしたの、シリウス。」


「お前が昨日ケンカふっかけられた相手だ。弱点は甘い匂いと甘いモノ。」


「つまり、ムーニー自体が弱点だね!」


「確かに、リーマスは甘い匂いするもんね!」


「どうして、Msのこと調べたの?」








日曜日の昼。

僕は、まだ眠いのに起こされてジェームズのベッドの周りに集まった。

新しい悪戯の案だろうと思っていたんだけど。

Msの話だなんてなぁ。

シリウスは、ベッドに腰掛け、足を組ながら僕にMsの特徴(?)を話した。




だから、僕は聞いた。

どうして、って。

だって、Msとは別に喧嘩したわけでもないし。

むしろ喧嘩するほど仲は良くない。








「バーカ。お前、敵と思われたまんまで良いのか。」



「…え?」


「ムーニーのことを何も知らないのに嫌いだって、彼女は言ったろう?」


「いくらあまり仲良くなくても嫌いって面と面向かって言われたら嫌だろ。」


「僕らはね、どうしてリーマスを嫌いなのか、聞きたいんだよ。」


「そのためには情報収集からってわけ。」


「なにしろ彼女は、グリフィンドールで唯一、僕らを好かないらしいから。」


「近づくことも許されないわけだね。」








僕が笑うと、ジェームズは何でこの僕が嫌われるのだろうと嘆いた。








「あ、あのさ、僕は嫌われてない…と思うよ。」


「はぁ?皆嫌われてるって言ってたじゃねーか!」


「だ、だからっ。< 僕 >は嫌われてない…って…。」








シリウスに怒鳴られながらも必死に言うピーター。

ジェームズは少し考えるようにして、ピーターを見て言った。








「そういえば、彼女が僕らを嫌ってるっていう情報をくれたのは君だね。」


「う、うん。、いつも言ってたから…。」


「「「!?」」」


「名前で呼び合うほど仲良かったのか!」


「な、仲良し、って言うより、話相手だよぉ!」


「同じだろ!じゃぁ、何で嫌いなのか分かんねーのかよ?」


「わかんないよ。だって、僕はシリウスとジェームズの愚痴しか…聞いてなかったし。」


「リーマスの愚痴は?」


「聞いたことないよ!だから昨日、僕が一番ビックリしたよ!」





「愚痴、ね。実に興味深いな。」








楽しそうなジェームズの声がした。

ジェームズを見ると、ワクワクしてるようなオーラが出てる。


きっと、彼女と話したいって言うんだろうなぁ。








* * *








別に泣きたくなるほど嫌いってわけじゃなくて。

おぞましい、って言う嫌いじゃなくて。

ただ、見てると私が苦しくなるから嫌いなの。








!」


「あ、ピーちゃん。どうしたの?そんな息切れの状態で。」


「えっと、あのね、」


「急ぎの用事?」


「う、ううん!、なにか用事があるの?」


「うー…ん。スラグホーンに呼ばれてて。」


「えっ、じゃぁ良いや…また今度。」


「今話してよ。せっかく珍しくピーちゃんが話しかけてくれたんだから。」








昼飯の後、昨日不覚にも悪戯仕掛人の近くに座ってしまったので。

今日は誰よりも早く行って食べて、誰よりも早く食べ終わった。

そしたらピーちゃん―私の友達―が珍しく話しかけたので、少し驚いた。








「えと、何で…リーマスが嫌いなの?。」


「あら、貴方がそう聞くのなんて変ね。理由はいつも愚痴ってるじゃない。悪戯仕掛人の愚痴。」



「そ!そうだけど!リーマスのは今まで聞いたことなかったし…。

…あまり知らないのに、真っ正面から嫌いって…。」



「知らなくないよ。甘い匂いをして、ふわふわな優しさを垂れ流し。」








頭でルーピンを思い浮かべる。

ケーキのような甘い匂いをしていて、マロンのような髪の毛。

ふわふわのカフェモッカのような優しさ。








「私は、甘いのが嫌い。ルーピンは存在自体が甘いから、嫌なの。」


「甘い…?」


「見てるだけで苦しいの。呼吸困難になりそう。

 あの優しい空気に包まれたら、私が私でなくなりそうで嫌いなの。」


…、」








それって、って言い、続きを言わないピーちゃんに首をかしげた。








「ねぇ、ジェームズやシリウスのことについては、どう思う?」


「いつも言ってるでしょ。あいつらの悪戯に楽しいと思えない人が居るのに巻き込むからよ。

 クディッチで取ったって、減点くらうし、三歩進んで二歩下がるの繰り返し!」








その時。

ピーちゃんの後ろは、なにもないのに、ポッターがショックだって言ってる気がした。

幻聴みたいなものが聞こえるなんて。

昨日、あまり寝てないからかな。








* * *








「俺、相当嫌われてたな。ミス・に。」


「女の子の憧れの的のシリウスくんも彼女の発言にショックなのかい!」


「っけ、ジェームズだって言われていたくせに。」


「しかし、これでハッキリしたね。彼女は僕らをほんとに嫌いってこと。」


「あぁ。けど、気になるのはリーマスへの‘嫌い’だな。」


「それ、僕も気になったんだ。だって、リーマスのことをいつも目で追ってたんだよ!」


「素直になれない、ってわけか?」


「僕には分からないよ!だって、好きだったら、僕は絶対に嫌いなんて冗談でも言えない!」








3人は、悩む。



リーマスは、一人、本を読んでいた。










前後って、やると、なんか、タイトル英語なのに、
なんやねんってなるから、1ってつけました。
そしたら、なんだかドコまでも続きそうで、
自分にプレッシャーをかけてしまった・・・!