ちくしょうチクショウちくしょう。 ハメられた。まんまと引っかかった。 「どうやって、抜けだせって言うんだ、そもそも、ここはドコなんだ・・・!」 02. ドアを蹴破って 真っ暗の部屋。 だんだんと、目が暗闇になれてくると、ここが埃っぽい部屋と言うのがわかる。 ガチャガチャと、ノブをまわしても。 杖を振って、ドアを開けようとしても。 ドアは、開きやしないし。ドアの先の光なんて、見えやしない。 まるで、誰かさんの心のようだな。と、自分で自分に嘲笑ってみる。 なぜ、僕がこんなに苦しんでいるのかということを説明すること、数分前。 僕が不快を感じることに99パーセント絡んでくる、あの獅子どものせいだ。 一人で歩いて、絡まれて、不覚にもとられた羽ペンを追いかけて。 気づけば、この埃まみれの真っ暗な部屋に転がりこんでしまった。 「最悪な状況だな。」 あぁ、まさに。ポツリと出た言葉のとおりだ。 実に最悪な状況だ。 こうも真っ暗だと、考えることも暗い方面にしか行かない。 まぁ、明るいところだからって、僕は明るい方を考えるわけでもない。 しかし、このまま消えるように、コノ世界から完全にシャットダウンしても良いと思った。 コノ世界に、未練なんてものも無いしな。 ″へぇ。すごいな、まだ1年生だよな、君も。それなのに、すごい、こんな高度な魔法。″ "じゃあね、セブルス。" ふと、思い出したのは、・とか言う女。 たぶん、ホグワーツに来て、初めてまともに話した奴だ。 なぜ、ここで思い出すのか。 こいつに、未練があるからとでも言うのか? ばかな。ありえない。きわめて、信じたくない。 ・・・・たしかに、また話してみたいとも思う。 そうか、これが、未練というものなのか。 ふん・・・まさか、な。 時間が、どのくらい経ったのだろうか。 そろそろ、夕食だろうか。スリザリン生が一人居ないことに気づくやつがいるか。 いや、いないな。考えてみろ、初めてまともに話した奴は一人だぞ。 それも、気まぐれで生きていそうな、やつだ。 ・・・はたして、本当に、このまま話すことなく僕は終わるのだろうか。 この真っ暗で埃っぽい部屋は、本当に僕の心みたいだ。 からくりだらけの、ホグワーツだ。何百年の歴史のなかで、こうやって死んだやつもいるだろう。 光なんて、なくて。埃だらけで、真っ暗で、堕ちていきそうな、部屋の中で死んだ奴。 あぁ、まったくもって、つまらない人生だったな。 どこまでも堕ちていく思考回路を止めることが出来なくて、ドアの横で、もたれて座った。 そのとき、自分の横が、音を立てて、ふっとんだ。 ドアが。自分がたたいても、何をしたって、開かなかったドアが。 ぱらぱらと、埃の中に居た奴は。 「い、居たぁ。やっと、見つけたよ、セブルス。」 僕が、また話したいと思った奴だった。 このつまらない世界を去るなら良いだろうと、思えたけど、どこか頭の中で引っかかった奴。 そう、この僕が、世界を去るには未練があると思った(かもしれない)奴だった。 どうやら、夕食のときに、居ないことに気づき、クリード・アークスと探していると、 不自然なところに、不自然な羽ペンが落ちていたらしく。 名前など書いていない羽ペンだったけど、なんとなく、いやな予感がして。 「怖くなったから、ドアも壁も吹っ飛ぶ魔法、使っちゃった。」 笑って言う彼女に、なぜか僕も笑いがつられてしまった。 真っ暗で埃まみれの暗い部屋のドアを、 壊してくれたのが、お前でよかった。 ちなみに、獅子たちはこっぴどく叱られたらしい。 ざまーみろ。 |